常州朝日日語——李下に冠を整さず
363 2017-05-03
戦國時代、周の烈王の六年、斉は威王が位にあって、即位してから九
年になったが、國內(nèi)は一向に治まらず、國政は佞臣周破胡の専らにする
ところとなっていた。破胡は賢才有能の士をそねみ、即墨(山東省)の大
夫が賢明の士であったのに、これを誹謗し、阿大夫はでくの坊であった
のに、かえってこれをほめそやすのであった。威王の後宮には虞姫とい
う女がいたが、破胡のやり口を見かねて、虞姫は王に訴えた。
「破胡は腹黒い人です。
登用なさってはいけません。
斉には北郭先生という
賢明で徳行高いお方がいらっしゃるのですから、
こういうお方をお用いになった方がよろしゅうございます?!?/p>
ところが、これが破胡の耳に入ってしまった。破胡は虞姫を目の敵と
して、何とかこれを陥れようとして、虞姫と北郭先生とは怪しいといい
出した。王は九層の臺に虞姫を閉じこめて、役人に追求させた。破胡は
手を廻して係りの役人を買収していたので、その役人は、あることない
ことをでっちあげて、虞姫を罪におとそうとした。しかし、王はその調(diào)
べ方がどうも腑に落ちないので、虞姫を呼びだして自分から直々事を質(zhì)
してみた。
「私は十余年の間、
一心に王のおんために盡くしてまいったつもりですが、
いまは邪な者どもに陥れられてしまいました。
私の潔白なことはハッキリ致しておりますが、
もし私に罪があると致しますと、
それは『瓜田で履をはきかえず、李園を過ぎる時に冠を整さない』
という、疑われることを避けなかったことと、
九層の臺に閉じこめられましても
誰一人申し開きをして下さる人がいなかったという、
私の至らなさでございます。
たとえ死を賜わりましょうとも、
私はこのうえ申し開きを致そうとは思いません。
けれども、たった一つ、王にお聞き願いたいと存じます。
いま群臣がみな悪いことを致しておりますが、
中でも破胡が一番ひどうございます。
王は國政を破胡にお任せになっていらっしゃいますが、
これではお國の將來はまったく危ういということでございます?!?/p>
虞姫が真心を込めてこう言うのを聞いた威王は、俄かに夢のさめる思
いがした。そこで、即墨の大夫を萬戸を持って封じ、佞臣の阿大夫と周
破胡を烹殺し、內(nèi)政を整えたので斉は大いに治まった。(列女伝)
この話に出てくる「瓜田に履を納れず、李下に冠を整さず」という語
は、瓜の実っている畑で履をはきかえると、いかにも瓜を盜ったように
思われるし、李が実っている下を通るとき、手をあげて冠をなおそうと
すれば、いかにも李を盜ったように思われるから、そういうような、人
から疑われるようなことは避けるという意味である。
「文選」の楽府に、「君子は未然に防ぎ、嫌疑の間に処らず、瓜田に
履を納れず、李下に冠を整さず、嫂叔は親援せず、長幼は比肩せず、労
謙其の柄を得、和光甚だ獨り難し(己の功に誇ってその能を輝かしては
いけない)云々と見える。
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